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「孤独の宰相 〜菅義偉とは何者だったのか〜 / 柳沢 高志」の感想・あらすじ

2024/02/02
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82点

感想

菅総理の手腕や苦悩がわかりやすく書かれていて、なかなかの良書であった。

総理としてはたった1年の在任期間であったが、しっかりと実績を残しているのが素晴らしい。
当時は新型コロナウイルスへの対応が批判されていたが、ワクチンの効果もあり徐々に感染者数が減少していったので、菅総理の判断は決して間違っていなかったと思う。
小池都知事や尾身分科会長は、一方的に慎重意見を言うだけで経済のことは考慮していないため、自分勝手で卑怯な感じを受けた。

全てを鵜呑みにするのは危険だが、この書籍の印象では岸田さんよりも菅さんの方が総理にふさわしい政治家である。

好き嫌い・敵味方がはっきりしていた。
好き・味方:二階俊博、河野太郎、小泉進次郎、公明党
嫌い・敵:岸田文雄、小池百合子、尾身茂

第1章:”令和おじさん”の誕生

  • 2019年4月1日、官房長官だった菅は新元号令和を発表した。
    これにより知名度・人気がアップした。
  • 7月の参院選で自民党が勝利すると、菅は岸田幹事長案に反対し二階幹事長を続投させ、評判が芳しくなかった菅原一秀と河井克行を入閣させた。

第2章:辞任ドミノの衝撃

  • 2019年10月、「菅原が有権者に贈り物や香典を渡していた」という記事が週刊文春に掲載され、菅原は辞任に追い込まれた。
    さらに「河井が妻の河井案里の選挙スタッフに法定の倍の報酬を払っていた」という記事が掲載され、河井も辞任した。
  • 2019年11月には桜を見る会をめぐる問題が浮上、12月には菅の推薦で総理補佐官に任用された和泉洋人の公私混同京都出張の記事が掲載された。
  • 菅は、これらは今井直哉総理補佐官ら安倍首相に近い官邸官僚のリークによるものだと考えていた。
    彼らは安倍総理が任期切れとなる2021年9月に退陣した後、岸田政権になれば官邸に残れるからである。

第4章:第99代総理大臣

  • 2020年8月28日に安倍総理が辞意を表明した。
    菅を支持すると思われていた河野と小泉は造反し、それぞれ総裁選出馬と河野支持を表明した。
    しかし、河野が所属派閥長の麻生に止められ出馬を断念、2人は菅支持に回った。
  • 岸田は頼みにしていた安倍からの支持を得られず、2021年9月14日の総裁選では菅が圧勝した。
  • 総理就任直後の2021年10月、菅首相が学術会議推薦の会員105人のうち安保法案などに反対していた6人の任命を拒否したことが報道された。
    菅は「会員が自分の後任を指名できる仕組みはおかしい」と既得権益を壊すことで国民からの支持を得られると考えていた。
    結局この問題はうやむやなまま取り上げられなくなったが、野党からの質問に言葉を詰まらせた菅の対応は国民に悪い印象を与えた。
  • 菅首相はその後、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることの宣言、75歳以上の医療費負担を1割から2割に引き上げ、GoToトラベル、など国民のための政策を推し進めていった。

第5章:コロナとの苦闘

  • 2021年1月、一都三県の知事が政府に緊急事態宣言の発出を要請した。
  • 菅はコロナの主な感染場所は飲食店であるとみていたため、営業時間の短縮を何度も依頼したが放置してきた小池知事に苛立ちがあり、「飲食店からの反発を恐れて、小池が政府に責任転嫁している」と不満を持っていた。
    しかし、感染者数が減少しないことから、結局緊急事態宣言は発出された。
    その後、政府分科会の尾身会長や小池都知事の要請により、宣言は延長された。
  • 2021年4月23日に3度目の緊急事態宣言が発出されたが、その頃菅はワクチン接種に全力を注いでいた。

第6章:なぜ総理の言葉は届かなかったのか

  • 菅は首相になっても官房長官時代と同様に慎重な答弁をしたため、どうしても受け身の印象を与えてしまい、発信力が欠如していると批判されてしまった。

第7章:苛烈な”菅おろし”

  • 2021年7月の都議選で自民党は惨敗、さらに4度目の緊急事態宣言が発出され、内閣支持率は低下した。
    そんな中、無観客で東京五輪が開催された。

第8章:最後の10日間

  • 2021年8月23日の時点では総裁選出馬の意思を表明していた菅だが、党内では菅総理では選挙に勝てないと言う声が挙がっていた。
  • 2021年8月26日、岸田は総裁選出馬と党役員を1期1年連続3期までとする意向を表明した。
    これは二階幹事長を切るという宣言であり、党内や世論から熱烈に支持された。
  • 安倍と麻生は菅を支持する動きをせず、いち早く菅の再選支持を表明していた小泉は菅に出馬を取りやめを要請するようになった。 そして2021年9月3日、菅は総裁選不出馬を表明した。

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