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「日本を前に進める / 河野 太郎」の感想・あらすじ(その1)

2024/02/03
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89点

感想

著前半は著者の半生、後半は政策などが書かれていた。

第1章はアメリカへ留学したり、共産圏を見てみたいとポーランドへ行ったり、とかなり面白い内容だった。

第2章はドナーとして父である河野洋平氏へ肝臓を提供したことが書かれていて、ドナーになることの大変さがわかるとともに、それを実行した著者は本当に素晴らしいと思った。

第3章以降は様々な問題が題材となっていて少々退屈な内容ではあったが、1人の政治家がこれだけ多くの問題を考えているということに驚かされた。

印象に残ったこととしては
「今までの外務大臣はあまり外国を訪問していなかったが、著者は積極的に訪問した」
「使用済み核燃料から取り出せるプロトニウムを高速増殖炉で燃やすと発電しながらプロトニウムが増殖される。高速増殖炉は夢の技術であり、完成すれば2千年近く電力の心配する必要がないはずだった。しかし、技術や経済の問題から各国が開発から撤退し、唯一残った日本も1995年のもんじゅの事故などがあり、2016年に廃止が決定された」
「公的年金を廃止すると生活保護受給者を増やすことになるので、廃止できない」
「マイナポータルは民間や行政のシングルサインオンを実現する」
「マイナンバーと口座が紐付けば、面倒な手続きなしで手当等の振り込みが可能となる」
などがあった。

著者は努力することができ行動力もある人物であることがわかる内容で、今後も注目・応援していきたいと思った。

第1章:政治家・河野太郎の原点

  • 慶應義塾中等部に進学し、平塚駅6時34分の電車で通学した。
  • 祖父と大叔父が箱根駅伝に出場していて、本人も慶應義塾中等部4,000mの記録保持者である。
  • 慶應義塾大学1年の時に退学してアメリカへ留学、高校のサマースクールに参加し、プレップスクール(大学進学のための学校)に1年通った後、ワシントンD.C.のジョージタウン大学に入学。
  • ジョージタウン大学がイエズス会の建てたカトリックの大学ということを知らずに入学したので、神学が必修単位であることに驚いた。
  • 民主党の上院議員の選挙対策事務所にボランティアとして参加、別の下院議員の事務所でインターンを経験。
  • ジョージタウン大国際学部3年は海外に留学するが、共産圏を見たいとワルシャワの大学へ留学。
  • ポーランドでは食品など生活必需品は配給制、シャワーのお湯は出ない、寮の食事は毎食じゃがいも、赤カブ、酢漬けキャベツ。
  • 指導教授が「この国で自由になんでもできます」と言ったので、民主化運動でノーベル平和賞を受賞していたワレサに会いに行った。
  • ワレサのアパートは盗聴されていて、案内役の神学生はワレサと筆談し使ったメモはその都度燃やされていた。2人はデモの打ち合わせをしていて、著者の訪問は絶好の隠れ蓑となっていた。
  • ワレサのアパートを出ると警官にパスポートの提示を求められたが、チェックイン時にホテルのフロントが半強制的に預かってしまっていたため留置所に入れられた。
    神学生は「心配するな。刑務所に入れられた時は半年で出られたよ」と励ましてくれたが、ポーランド留学は半年の予定だった。
    鉄格子に鍵はかかっておらず、トイレの窓は全開だった。
    「ここから逃げさせて、そこを後ろから打つんだろうな」と勝手に思いながら「そんなに大きな問題にはならなそうだ」とほっとした。
    翌朝釈放されると、行き先を告げていないのにパトカーでチェックインしたホテルに送り届けてくれた。
    部屋に入ると鞄の中身がベッドの上に並べられていた。
  • 大学を卒業して帰国、富士ゼロックスに入社して翻訳業務に従事。赤坂までの通勤時間がもったいないので在宅勤務を認めてもらった。
    母親は知り合いに「息子が自宅待機なのよ」と言っているので「在宅勤務です」と何回も訂正したがダメだった。
  • 1993年に父が自民党総裁選に勝利、94年に著者が結婚、95年に母ががんで他界、96年10月の衆議院選で当選。

第2章:父と私 生体肝移植をめぐって

  • 2001年、元々肝臓が悪かった父が肝機能の低下から肝性脳症を発症、翌年に4回目の発症があった後に自分がドナーとなることを決意する。
  • 生体肝移植は1年後の生存率が85%というリスクが大きい手術である。
  • 4月16日に信州大学で手術、術後のICUの中では痛みが激しく「ドナーになんかなるのではなかったと正直、思いましたが、もう手遅れです」
  • 術後たくさんの激励の手紙が届いたが「お前も親のためにドナーになれ、と言われるようになった。余計なことするな」という意見や、父が厚労省に働きかけて生体肝移植が保険適用されることになると「高価だからできない、と逃れていたのに。余計なことするな」という意見もあった。

第3章:新しい国際秩序にどう対処するのか 安全保障・外交戦略

安全保障

  • 中国の軍事力が脅威になっている。
  • 2020年度の軍事費は日本の4倍となる20兆円である。
  • 軍事力の差を埋めることは不可能であり、日米同盟の強化が現実的な選択肢である。
  • 中国やロシアに対して、軍事的なものだけでなく経済制裁などのオプションを持つことも必要になる。

外交

  • 外務大臣に在任した770日の間に77カ国・地域を訪問した。
  • 著者の訪問が日本の外務大臣と初めて、あるいは数十年ぶりという国や国際会議がいくつもあった。
  • 日本の外務大臣は国会に縛られすぎである。国会のあらゆる委員会に呼ばれ、答弁もないのに長時間座っていなければならない。
  • ODAに対しては「なぜ財政が厳しいのに外国を支援する必要があるのか」という批判がある。 それに対して、次のような理由をきっちり説明することが必要である。
    「1日の生活費が200円という人が世界で10億人もいる」
    「内戦や紛争による難民を受け入れてくれている国がある」
    「日本も戦後はODAに今の価値で10兆円の無償援助を受けた。世界銀行からも6兆円の低金利融資を受け、返済完了したのは1990年」
    「貧困で希望がないところはテロの温床となる。地熱発電所の建設を援助すれば温暖化を抑えることができる。エボラ出血熱の拡大防止を援助することは、日本への伝播を防ぐことになる。すべて巡り巡って日本人の身を守ることにつながっているのである」

第4章:防災4.0

  • 防災担当大臣になったとき、伊勢湾台風を防災1.0、阪神淡路大震災を2.0、東日本大震災を3.0と考え、近い将来に来るであろう大災害に備えるプロジェクト「防災4.0」を立ち上げた。
  • 首都圏で大震災が発生した場合、全壊した住宅の再建は公助には限界があるため、個人で保険に加入して備えるべき。

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