「日本を前に進める / 河野 太郎」の感想・あらすじ(その2)
2024/02/02
第5章:エネルギー革命を起爆剤に
- 東電が電力の契約先を東電から切り替えた消費者に対し、スマートメーターへの取り換えをわざと遅らせていた。消費者担当大臣としてこれを是正させた。
- 原子力発電に関する交付金や補助金が乱立していて不透明だったので、行政改革担当大臣として全てが公開されるようにした。
- 東電から国や市町村への除染費用の支払いが遅れていたり未払いだったりしていたため、行政改革担当大臣として是正させた。
- 再生可能エネルギーの導入は安全保障にとっても重要であり、自衛隊の輸入エネルギーへに依存を減らすことができる。
防衛大臣として、全国151の自衛隊駐屯地等で再生可能エネルギーを導入したことで、防衛省の総電力の7%が再生可能エネルギーとなった。
2021年には519施設で30%以上の電力を調達することができた。 - 使用済み核燃料から取り出せるプロトニウムを高速増殖炉で燃やすと発電しながらプロトニウムが増殖される。
高速増殖炉は夢の技術であり、完成すれば2千年近く電力の心配する必要がないはずだった。
しかし、技術や経済の問題から各国が開発から撤退し、唯一残った日本も1995年のもんじゅの事故などがあり、2016年に廃止が決定された
第6章:国民にわかる社会保障
- 大きな病院を軽症の患者の診察から解放し、そこでなければできない診療に集中できるようにするべき。
そのためには、地域で住民の健康管理に責任を持ち、具合が悪くなった人が最初に訪れる窓口でもある「総合診療医」という制度を確立する必要がある。 - 例えば、癌は緊急の処置が必要な病気ではない。
市町村ごとに癌の手術をする必要はなく、ある程度大きな地域ごとに1つ拠点病院として設置するべき。
そこに手術を集中させることで手術件数が増え、手術レベルの向上につながる。 - 2018年の健保組合全体の保険料収入のうち保険給付に充てられたのは51%、他は後期高齢者支援金や前期高齢者納付金などへの拠出金として支出されている。
医療保険制度は健保組合、協会けんぽ、共済組合の被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度が並立している。
大企業の健保組合と後期高齢者医療制度では保険者の収入がまったく異なり、財政力に大きな差がある。
そのため、各制度が集めた保険料の中から他の制度を支援するための拠出金がある。
国民健康保険や後期高齢者医療制度では保険給付の50%、協会けんぽでは16.4%、などそれぞれの制度には税金が投入されている。
これでは保険料と税の違いが曖昧になってしまう。 - 所得再分配は税金で行うという原則を打ち立て、社会保障制度を再構築する必要がある。
医療や年金の保険料を利用して富の再分配を行うことをやめなければならない。
保険料負担額は収入に応じて決まるので、その範囲内では所得再分配機能がある。
ただし、保険制度間の財政調整に流用することは廃止するべき。 - 国保は自営業者のための制度であったが、今では非正社員と年金受給者のための制度に変質してしまった。
そのため、国保は高齢者の割合が低く、現役世代の保険料負担が重くなってしまっている。 - サラリーマンが自営業になったり、その逆も頻繁に起こる時代である。
将来的には、医療保険を一本化、あるいは職業ではなく地域別にした医療保険制度をつくるべき。 - 「公的年金は廃止すべきだ」という声も聞かれるが、廃止することはできない。
なぜなら、私的年金のみにすると将来、無年金者が増加し、生活保護が急増し財政を圧迫することになるから。
また、何歳まで生きるかわからない長生きのリスクをカバーするためには、早く亡くなった人の年金を相続させずに長生きした人に分配する必要がある。
それができるのは政府だけである。
第7章:必要とされる教育を
- 親の所得格差が教育格差につながってはいけない。
大学の授業料などを国が支援し、卒業後の所得に応じて一定の金額を納付してもらう「卒業後所得連動型拠出年金制度」を導入するべき。 - 英語教育を抜本的に改めなければならない。
国際化が進み、英語を使うことは特別なことではなくなった。
自動車の運転やパソコンを使うことと同じようなものである。 - 「英語を早くから教えるより、美しい日本語を話せるようにすることが大切」という意見もあるが、賛成できない。
「数学よりも日本語」「体育よりも日本語」とは言わないのに、なぜ英語だけ国語と比べるのか。
第8章:温もりを大切にするデジタル化
- マイナンバーと口座が紐付けば、面倒な手続きなしで手当等の振り込みが可能となる。
- マイナポータルは民間や行政のシングルサインオンを実現する。
- マイナンバーカードにはICチップの電子証明書が埋め込まれている。