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「知らないと恥をかく世界の大問題11 / 池上 彰」の感想・あらすじ

2024/02/03
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感想

新型コロナウイルス、アメリカ大統領選挙、イギリスEU離脱、アメリカvsイラン、などが書かれていた。

中東と日本の章がわかりやすく、とても勉強になった。

概要

アメリカ

  • トランプ大統領は株価下落を恐れたため、新型コロナウイルスへの対応が遅くなった。
  • 供給過多により石油価格が暴落している。
    アメリカのシェールオイル企業が倒産すると、シェールオイル産業のジャンク債を購入しているアメリカ金融機関は大きな損害を受ける。
    トランプ大統領はOPECやロシアに働きかけ石油の原産で合意したが、価格低下は続いている。
  • 2020年2月29日、トランプ政権はアフガニスタンのタリバンと和平合意を結び、18年間に及ぶ戦争が終結した。

イギリスEU離脱

  • 2020年1月31日にイギリスはEUから離脱した。12月末までが完全離脱のための移行期間となっている。
  • 経済への打撃や北アイルランド問題の再燃が懸念されている。

中東

  • 2020年1月、トランプ大統領は中東和平案を発表したが、イスラエルよりの和平案だった。
  • アラブ人がフサイン・マクマホン協定を反故にされたことに抗議し、イギリスにトランスヨルダンという国の成立を認めさせた。
    現在のヨルダンである。
  • サイクス・ピコ協定により、オスマン帝国領であった現在のシリアやレバノンのあたりは「大シリア」としてフランスの支配下となり、イラクやクウェートのあたりはイギリスの支配下となった。
    大シリアで独立運動の機運が高まると、一致団結しないようにフランスは人工的に国境線を引いてレバノンを切り離した。
    同じように、イギリスはクウェートを切り離した。

東アジア

  • 台湾では2000年以来、「我々は台湾人」という民進党と「中国はひとつで我々は中国人」という国民党が8年ごとに政権交代している。
  • 習近平は台湾に一国二制度での統一を提案していたが、香港情勢の悪化により台湾では反対派が多くなっている。

グローバル時代

  • ヨーロッパは地球温暖化の影響で寒冷化するという説がある。
    ヨーロッパが北海道よりも北にあるのに暖かいのは、赤道付近から運ばれてくるメキシコ湾流の恩恵を受けているからである。
    温暖化が進むと北極の氷が溶けるが、氷は比重が軽い淡水であるため沈み込みが起きず、還流のエネルギーが止まってしまうのである。
  • 2015年にパリで開催されたCOP21ではパリ協定が採択された。
    「議定書」の場合は議会の承認が必要となるため、京都議定書ではアメリカで調印後に政権交代があり離脱してしまった。
    下院は野党が多数派だったオバマ政権の要望に応じ、協定にしたのである。
    さらに「3年間は離脱できない」「離脱は通告から1年後」というアメリカが簡単に抜けられない条件が付けられている。

日本

  • 森友問題は「国有地を8億2千万円も値引きをして売った問題」であり、その後の文書改竄も問題となった。
  • 加計学園問題は「52年間認められなかった獣医学部の新設が、安倍首相のお友達には認められた問題」である。
  • 検事長の定年延長問題は「検察庁法で検察官は63歳、検事総長は65歳と定年が定められているが、2月で63歳になる黒川検事長の定年を国家公務員法を持ち出して半年間延長した問題」である。
    現在の検事総長の稲田氏が7月頃勇退する(慣例で2年で勇退する)と見られており、安倍政権は森友問題などを穏便におさめてきた黒川氏を検事総長にしたいのである。
  • 桜を見る会の問題は、「会自体は問題ないが、前夜祭にも税金が使われたのでは?」「反社会的勢力が出席していたのでは?」「名簿が破棄された」などが問題になっている。

アメリカがイスラム革命防衛隊の司令官を殺害

イランはアメリカ寄りのパーレビ国王が近代化を進めていた。
それに反発したイスラム教徒が1979年にホメイニ師をリーダーにイラン・イスラム革命を起こした。
この時、国軍は国王を裏切って革命勢力側についた。
ホメイニ師は「国軍は裏切るかもしれないので信用できない」と考え、もう1つの軍隊「イスラム革命防衛隊」をつくった。

2020年、アメリカがイスラム革命防衛隊のトップだったソレイマニ司令官を殺害したことで、両国は一触即発状態となっている。

トランプ大統領の大罪、「イラン核合意」からの離脱

2015年、オバマ大統領は「核開発を10年間ストップすることの見返りにイランへの経済制裁を停止する」という「イラン核合意」を結んだ。

しかし、2018年にトランプ大統領は一方的に離脱して経済制裁を再開した。
これがアメリカとイランが緊張状態になった引き金となっている。

アメリカ史上最も長い18年間の戦争に終止符

2020年2月、アメリカはアフガニスタンと和平合意し、2001年10月から続いていた戦争に終止符を打った。

1979年12月、ソ連がアフガニスタンに侵攻した。
当時のアフガニスタンでは次々とクーデターが起きていたため、隣国が緩衝地帯でないと不安で仕方がないソ連は心配となり、自分寄りの国を作るために軍事介入したのである。
イスラム教の国だったアフガニスタンに宗教を否定する社会主義国が攻め込んだため、アラブ諸国からも応援が駆けつけ内戦となった。
アメリカはイスラム教徒側に資金と武器を与えて支援した。

「タリバン」をつくったパキスタンの罪

アメリカの支援によりソ連は撤退したが、アフガニスタン国内で民族間での権力争いが起こり再び内戦となった。
そこに侵攻してきた過激派組織タリバンによってアフガニスタンは支配されてしまった。

パキスタンのイスラム原理主義の集団は、アフガニスタンから逃げてきた難民の子どもたちのために神学校をつくってイスラム原理主義を教え込み、最新兵器を与えて兵士にした。
アメリカがパキスタン経由でアフガニスタンに送っていた兵器を、途中で抜き取っていたのである。
学生のことを「タリブ」と言い、複数形が「タリバン」である。

2001年の同時多発テロの後、タリバン政権がビン・ラディンの引き渡しを拒否したことから、アフガン戦争が始まった。
長期にわたる先頭は大きな負担となり、2020年2月に事実上のアメリカの敗戦で終結した。

中東で存在感を増す反米国家イラン

イランのトップはロウハニ大統領ではない。
その上にハメネイ師という最高指導者がいる。

シーア派はイスラム教徒の約15%の少数派だが、イランでは約9割がシーア派である。
スンニ派の指導者はカリフと呼ばれるが、シーア派ではムハンマドの血筋を引く指導者をイマームと呼ぶ。

12代目のイマームは突然姿を消してしまった。
イラン・イスラム革命を起こしたホメイニ師は「12代目のイマームが再臨するまでの間は、イスラム法学者が最高指導者として国を導けばいい」とした。
ホメイニ師が亡くなった後を継いだのが現在の最高指導者ハメネイ師である。

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