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「おとなの教養3 / 池上 彰」の感想・あらすじ

2024/02/02
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83点

感想

著者の書籍では毎度のことだが、とても勉強になった。

ウイルスやワクチンの仕組みについての説明が最も印象に残り、よく理解することができた。

全体的には米中心冷戦とポスト資本主義に関する内容が多かったと思う。

第1章: 気候変動

  • 温暖化が進むとマラリア・デング熱などの熱帯伝染病を媒介する蚊の生息域が拡大し、日本でもマラリアが発生するのではないかと危惧されている。
  • 2016年にはシベリアの永久凍土が融けて現れたトナカイの死骸から、炭素症の集団発生があった。
  • 北極には大陸がないので氷が溶けても海面は上昇しない。一方、南極やシベリアなど陸地の氷が溶けて海に流れ込むと海面は上昇する。

第2章: ウイルスと現代社会

  • 14世紀のヨーロッパではペストが大流行し、ヨーロッパでは人口の1/3、全世界では約1億人が亡くなったと言われている。当時はカトリック教会が絶対的な権威を持っていたが「いくら祈ってもおさまらない」「神父さんも死んでしまう」となりカトリックの権威が失墜した。
  • 1918年にスペイン風邪が世界中で大流行した。アメリカで発生しヨーロッパ中に広まったが、第1次世界大戦中だったため各国が情報を伏せ、中立国だったスペインだけが公表したためスペイン風邪という名前が付いた。
  • 人間の免疫細胞は、ウイルスに感染した細胞ごと壊す。これが炎症の原因である。 ウイルスの増殖が進むと、免疫細胞が暴走して正常な細胞を傷つけてしまうことがある。これをサイトカインストームと言う。若い人は免疫力が強いため、サイトカインストームが起こりやすいため重症化しやすい。 新型コロナウイルスは肺でウイルスが増殖し、過剰な炎症が起きるため肺炎になってしまう。
  • ウイルスにはDNA遺伝子が入っているDNAウイルスと、RNA遺伝子が入っているRNAウイルスの2種類がある。 DNAは2重螺旋構造であるため、片方がチェックし自己修復する機能があるため変異しにくい。 一方RNAは1本の鎖であるため、修復機能がなく変異しやすい。 天然痘はDNAウイルスであったため根絶できたが、インフルエンザやコロナはRNAなので変異しやすいのである。
  • インフルエンザなどに感染すると、免疫細胞が抗体を作り、抗体がウイルスと戦うようになる。そのため、すぐには同じ病気にはかからないようになる。
  • 抗体の働きを人工的に作り出すのがワクチンである。ワクチンには、力を弱くしたり感染能力を失わせたりした病原体が入っている。ワクチン接種によってあらかじめ体内に病原体を入れておくと、免疫ができて感染を予防することができる。
  • ウイルスは生きた細胞の中でしか増殖しないという特徴がある。例えばインフルエンザワクチンを作る場合、ニワトリの有精卵を使ってウイルスを培養し、その後毒性を除去するという工程になる。そのため作るのに時間がかかり、さらにその後に臨床試験があるため完成までに10〜15年かかると言われている。
  • 新型コロナウイルスのワクチンは、これまでのワクチンとは全く違う方法で作られている。製薬会社は新型コロナウイルスの遺伝子情報を持っていて、その中の「人間の細胞に入り込むためのタンパク質の遺伝子配列」だけでワクチンを作っている。そのため、体内に入っても悪さをするわけではないが、体はそれに反応して抗体を作り出す。外側だけそっくりの偽ウイルスにより、抗体づくりを誘導するのである。このタイプのワクチンはmRNAワクチンと呼ばれ、従来のワクチンのようにウイルスを培養する必要がないため、作るのに時間がかからない。
  • ワクチンの治験では、半数には本物のワクチンを、半数には生理食塩水をプラセボ(偽薬)として打つ。人間は薬ではないものでも「これは薬だ」と思って服用すると、病状が改善することがある。これをプラセボ効果と言う。

第3章: データ経済とDX

  • DXとはデジタル・トランスフォーメーションの略で、「デジタル技術が生活のあらゆる面に作用し影響を与える変化」と定義されている。英語ではtransをXと略されるためDTではなくDXである。
  • 5Gの特徴は高速大容量、低遅延、他接続である。2時間映画は3秒でダウンロードでき、海外中継でもタイムラグは0.001秒しかない。ほぼタイムラグがないため、自動運転、遠隔医療などが可能となる。1平方キロメートルあたり100万台の端末を接続でき、家電も車も遠隔操作が可能となる。

第4章: 米中新冷戦の正体

  • 対立のきっかけは、2018年にアメリカが中国からの輸入品340億ドル分に25%の追加関税をかけ、中国も同きぼの報復関税をかけたこと。
  • CIAは「ファーウェイの部品にバックドアが仕掛けられている」「中国からの指令でファーウェイ製品の動作を停止できる」という疑惑を抱いている。2018年8月にアメリカは国防権限法を制定し、アメリカ政府機関のシステムからファーウェイなど中国企業5社の部品を組み込んだ製品を締め出した。2020年8月からは、5社の部品を組み込んだ製品を使用している企業とアメリカ政府機関との取引が禁止された。
  • 米中は、香港問題、北極海の資源、でも対立している。

第5章: 人種・LGBT差別

  • 2020年、アメリカでBLM運動(Black Lives Matter)が起こった。日本語では「黒人の命も大切だ」のようなニュアンスになる。

第6章: ポスト資本主義

  • 2017年、世界の上位8人の資産は4260億ドルであり、下位36億人の資産と同じというレポートが発表された。
  • 東西冷戦時代は、社会主義国が存在したことが資本主義の行き過ぎにブレーキをかけていた。格差が大きくなりすぎると「労働者が怒り出して、ソ連や中国のような社会主義政権が誕生する革命が起こるのではいか」という恐怖心があり、革命が起きない程度に労働者に分け前を与える仕組みが働いていた。ソ連の崩壊により社会主義も崩壊し、格差是正の取り組みをしなくなってしまった。
  • トマ・ピケティは統計データから「資本収益率 > 経済成長率」という不等式を実証した。株や不動産の運用利益が年平均4〜5%であるのに対し、GDPの伸び率は年平均1〜2%であった。これはお金持ちの資産運用の方が労働者の賃金よりも増え続けていることを意味し、資本主義が続く限り格差は大きくなっていくことを意味している。
  • 格差が広がると経済は成長しなくなる。一部の大金持ちが大きな買い物をするよりも、中流層がたくさんいて、何千万人という人々が買い物をする方が経済は発展する。戦後の日本がそうであった。格差が広がったため、現在の先進国では経済成長率が落ちている。
  • まだ人類は資本主義を乗り越えるような経済システムを見つけられていない。

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