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「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい / 三戸 政和」の感想・あらすじ

2024/02/03
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感想

会計について様々なことが書かれていて、そこそこ面白かった。

特に、資産としてのソフトウェアの扱い方は勉強になった。

残念ながら自分に会計の知識があまりないので、全てを理解することはできなかった。

ソフトウェアは会計的値付けが難しい

ソフトウェアは目に見える「資産」ではないため、資産計上の金額設定に意見が分かれる。

ソフトウェア開発にかかった費用が「ソフトウェア」と言う資産項目に入る。
最近のスマホゲームのアプリ開発費では、5億円くらいが相場である。
しかし、開発したアプリがいくら稼ぎ出すかはわからないのに、開発にかかった費用をそのままの金額で資産計上していいのかどうか。

会社の会計では、資産には売り上げを産むものしか計上されないはずである。
ソフトウェアは、会計の処理のルールでは判断できない資産である。

資産構成は業種形態で変わる

BS(損益計算書)を見たときに、どのような資産構成であれば経営状態がよいと言えるか。
その目安は、業種形態によって大きく変わる。

卸売業であれば在庫が大きくなり、製造業では土地や機械などの固定資産の比率が大きくなる。
人材紹介会社やIT企業などは在庫はほとんどない。

同業種の他企業と比べて経営状態がよいかどうかを見ない限り、その会社が「いい会社」なのかはわからない。

飲食店の廃業率が高いのはなぜか

飲食業は売掛金がほとんどなく、買掛金が多い商売である。
つまり、お客さんから現金を受け取って、仕入れの代金の支払いは月末締めの翌月末払い、という資金繰りである。
通常の法人相手の商売とは違って、ゆとりのある資金繰りである。

ここに落とし穴があり、お客さんから現金でもらうと、全部自分のものになったと勘違いする人が出てくる。
レジのお金で飲みに行ってしまうようなことをすると、仕入れ業者への支払いの際に現金が足りなくなる。
そんな時に、税金の支払いなどが来たら夜逃げするしかない、ということになりかねない。
仕入れ代金を踏み倒して倒産する飲食業は多い。

このような現金商売以上に先食い問題が起こるのが「前金」ビジネスである。
旅行代理店「てるみくらぶ」は、旅行客から前金として集めた旅行代金を会社の資金繰りに使い、旅行の手配ができなくなって経営破綻した。

13億円が1円になった例

2015年、リフォームのマッチングサイトを運営していたあセカイエという会社がGREEに13億円で買収された。
しかし、その2年後にGREEはセカイエを別の会社へ1円で売却した。

GREEはセカイエの事業を成長させるために多額の広告費用を投下し、システム開発にも注力したため、ビジネスそのものは成長していた。
売却した時点での売上高は、前年比2倍強の約16多く円に伸びていた。

なぜ売却したのか?
それはGREE本体の経営戦略の転換にあった。
多角化がうまくいかなかったGREEは、得意とするゲーム事業に経営資源を集中し、本業以外から撤退したのである。

では、なぜ売却金額が1円となったのか?
それは、売上高が大幅にアップした一歩で、5億7000万円の赤字を出していたからである。
しかし、この赤字は宣伝費や開発コストであり、先行投資による戦略的な赤字であった。
スタートアップ期は超え、事業はきちんと回転していたため、コストをコントロールすればすぐに黒字化することも可能だったはずである。

ここが企業経営の難しいところで、GREEほどの規模の会社にとって16億円程度の事業では面白味がなかったと思われる。
50億円、100億円のビジネスを考えていたからこそ、年間5億円の赤字が出ても事業を進めていたはずである。

調達資金で国債を買った会社

2007年、ミクシィが国債を購入していたという話が投資家の間で話題になった。
2006年に上場して調達した資金で、なんと日本国債を購入していたことが有価証券報告書で明らかになったのである。
投資家からすれば、わざわざリスクの高い企業の株式を買わずに、自分で国債を買ったほうがいいということになる。

なぜそんな投資が行われたのか。
ミクシィは上場してお金を集めたはいいが、次の事業を見つけられずにいたのである。
現金をそのまま持っていてもしょうがないので、苦肉の策で国債を買ったのである。

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