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「商社マンの「お仕事」と「正体」がよ~くわかる本 / 秋山 謙一郎」の感想・あらすじ

2024/02/02
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点数

78点

感想

「商社とは何か」が気になるきっかけとなった本であり、読みやすかった。

商社とは何かというより、商社マンとはどういう人間か、がメインの内容。

高学歴の切れ者の集まり、平均収入が4桁、海外駐在は当たり前、7大商社それぞれがコンビニを持っている、というのが印象に残った。

商社マン

商社マンに求められるセンス

有名な心理学的小噺がある。

靴を履く習慣がない国へ二人の商社マンが出張を命じられた。
A「この国ではビジネスチャンスはありません」
B「この国にはビジネスチャンスを大いに感じる」

商社マンの平均年齢と平均年収

7大商社の平均年齢は40台前半、平均年収は950〜1450万円。

上司を役職名で呼ぶ

多くの企業では上司を役職名で呼ぶのが一般的である。

丸紅ではたとえ上司でも「さん付け」で呼ぶ。

「人としては対等だから…社内で細かいことにこだわるくらいなら、もっと本質、つまりビジネスに目を配れ」ということらしい。

外国語が話せるのは当然

商社志望の学生は、やたらと外国語が話せるとかコミュニケーションスキルがあることを強調するが、商社マンならそんなものはあって当然。

その一歩先の何ができるのかが大事。

英語は必須

商社で英語が苦手というのは致命傷だ。

最低でもTOEIC六百点は必要。

勉強はできて当たり前

銀行や公務員は筆記試験ができれば採用される。

しかし商社は違う。

ただ勉強ができる優等生というタイプの人には敷居が高い。

勉強はできて当たり前で、プラスαの部分が重視される。

外国語・体力・協調性、そんなのは当たり前。

そこから何ができるのか、もしくは何がしたいのかを語れるようでなければ商社マンとしての素質はない。

嫌われるタイプの上司

人望のない上司には切れ者揃いの商社マンは誰も従ってくれない。

「何でもかんでも仕切りたがり、部下管理が厳しく大きな声で叱る。部下の手柄は自分の手柄。自分のミスは部下のミス…。これでは誰もついてこない」ところが商社マンには、こういうタイプが多いという声もある。

営業畑の人間に多い。

特にバブル期に採用された人は、体育会出身者も少なくない。

そういうタイプの上司に、必死に勉強してきた今の若者が部下だとかみ合わないことも多々ある。

海外駐在

入社10年目までの総合職入社の社員には、よほどのことがない限り海外駐在を経験させるところが多い。

語学習得やMBA取得などに専念する商社もあれば、海外支社や現地法人で勤務しつつ学ぶ商社もある。

学力は必要

よく就活で「学力は関係ない。協調性とガッツがあればいい」などというが、これは総合商社では通用しない。

一概にはいえないが、仕事ができる人は学力もある。

商社マンで仕事はできるが学力はそこそこ、というのは有り得ない。

基礎学力こそ商社マンの素養である。

商社

金属・鉄鋼事業

金属・鉄鋼事業は商社の屋台骨である。

各種インフラ、自動車、住宅など扱われる分野が幅広い。

例えば、ある開発途上国がエネルギー事業に注力しているとする。

その場合、必要な鉄鋼プラントの調達から納品までの責任を持つのが主な仕事である。
(プラントとはパイプなどの菅のこと。プラントは様々なところで使われるため、商社の大きな収入源となっている)

関税

関税・通関に関する知識はあったほうがいい。

例えば、車の輸出入では関税も考えなければならない。

食品事業

商社の食品事業というと、食品メーカーで用いる原材料の輸出入のみが注目されるが、そうした業務だけに止まっているわけではない。

新たなる仕掛けを商社側が提案する企画営業型ビジネスがいまは主流。

インスタントの面食品でもお菓子でも、調達を依頼された食材をどうすればさらなる付加価値がつくのかを検討・具現化し、利益に繋げる。

最近コンビニで見かけるプライベートブランドは、商社もしくは卸会社主導で仕掛けたものである。

商社での働き方

メール

すこしでも私用メールと思われるものは自前のスマホで送受信する。

同業他社や専門商社などのライバル社の人とは会社のドメインでやり取りする。
私物の端末でやりとりしているころがバレたら、それこそいらぬ疑いがかかる

代休

土日に出勤すれば、月火などに代休を取る。

その代休日に勝手に仕事をしていたことがわかれば、今度は人事も交えてその社員を注意することになる。

これは代休という休みの日、つまり会社の業務ではない時間に勝手に会社の業務をした、ゆえに会社の命令を無視した、ということである。

高収入は激務の対価

商社マンの平均年収は1千万円を超えている。

「たしかに恵まれている。でも、とても激務。正直、60歳まで生きているかどうか、自身は持てない。仕事は充実していて、やりがいはあるけれど、体力的にきつい。その対価がこの額なのかもしれない」

商社マンAさんの場合

Aさんにとって休日は金曜日の夜からである。

「金曜日夜から月曜日の朝までが休日。この間は一切仕事のことは忘れる」

とある金曜日夜、社内のサークルの飲み会に参加、土日は山のペンションで川釣り・日光浴・グルメを楽しんだ。

「完全に都心から離れた場所に行かなければ、仕事を忘れることはできない。休むのも仕事。家庭サービスも仕事。家庭を治めることのできない人間にデカい仕事はさせられない。商社に限った話ではないのだろうが、離婚歴はうちの社ではハンディになる」

こう話すAさんだが、商社マンは情報収集や勉強の時間も必要だ。日曜日の夜だけしかその時間が取れていないようだが大丈夫なのだろうか。

「平日のコマ切れの時間を活用すれば、時間なんていくらでもできる。取引先に向かう時間でも、パソコンひとつ、本一冊されば、いくらでも勉強できる。商社マンに求められるものは「時間管理術」だろう。コミュニケーションスキルとか語学力、知識なんてものは、あって当然。そのうえで、いかに短い時間で大きなパフォーマンスを上げられるかではないか」

自信

仕事が充実していれば、自分に自信がつく。

自分に自信がつけば、周りに集まる人も自分に自信がある人が集う。

自信を持てるようになると、自分を囲む人が変わってくる。

やはり自分に自信がないときは、自分と似たような人が自分の周りを囲んでいた。

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