どうする?どうなる?ニッポンの大問題 少子“超”高齢化編
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石破茂/弘兼憲史 ワニブックス 2017年09月
目次
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73点
感想
少子化問題と地方創生が今後の日本にとって最も大きな課題である、ということがよくわかる内容だった。
第1章: “超”高齢化社会を考える
年金制度を維持する方法は3つしかない。
- 年金支給額を減らす
- 保険料を増やす
- 年金支給者数を減らす=支給開始年齢を上げる
嘘を言ってまで当選してもしょうがない。
石破さんは「政治家というのは後援会から秘書まで大勢の人を巻き込んでやる仕事であり、当選するためだけに嘘を言ってまで大勢の人を巻き込むのだったらやらないほうがいい」と考え、「社会保障財源として消費税を活用する」「集団的自衛権は現法律下でも行使できる」を選挙公約として掲げてきた。
長寿であることは幸せなのか?
- 医学が発達してみんなが長生きするということは、必ずしも人類の幸せにはつながらないのかもしれない。
- 2011年時点で70億人だった世界人口は、2050年には90億人に達すると言われている。
- 「どんなに長く生きたか」よりも「どういうふうに生きたか」が大事であり、「無理な延命治療を自ら拒否する」ことをもっと議論するべきである。
第2章: “超”高齢化社会にどう向き合うか
- 地方議員の報酬は安く月額20万円にも満たない市町村もあるため、他に仕事を持っている人が多い
- 石破「地方議員は究極の有償ボランティアでだと思う。高齢者が地方議員を専門にやったっていいと思う」
第3章: 少子化問題は国家の存亡にも関わる
- このままいくと、日本の人口は2100年には6200万人に減るという。
人口が5000万人を超えたのは明治45年だが、当時は若い人が多いピラミッド構造だったのに対し、これから待ち受けているのは逆ピラミッド構造である。 - 女性が働く環境ができれば子どもを産む女性は増える。
離婚率が3,4割もあるので、母子家庭が当たり前の社会を作らなければならない。 - 出生率が一番高い町と低い町で3倍も違う。
一番高いのは鹿児島の徳之島にある伊仙町であり、町長が集落を回って「高齢者にはこれだけ使って若い人にはこれしか使っていない」と財政の使途に偏りがあることを語ったところ、高齢者が「子育て支援に予算を使ってくれ」と申し出たという。 - 女性の平均初婚年齢が一番若いところは福島県双葉町の23.4歳、一番遅いところは京都府南山城村の37.2歳。
男性は高知県本山町の25.6歳と高知県三原村の39.1歳であり、共に高知県の中山間地なのになぜこんなに数値が違うのか誰も説明できない。
第4章: 地方活性化への模索
- コマツは本社機能の一部を石川県に移した結果、社員の結婚率や出産率が飛躍的に上がった。
30代女性の東京本社の子どもの数が0.9人なのに対して石川では1.9人、結婚率は東京が50%で石川が90%、しかも石川の管理職の出生率は2.8人である。
コマツでは東京でも石川でも賃金体系は同じであるため、東京よりも地方の方が子育てをしやすいということが表れた数字である。 - 地方に住むと高齢者は買い物に行けないため、これからはドローンの活用が視野に入ってくる。
街中だと落下の危険性があるのなら、河川の上をドローンの通り道にすればよい。 - 男性が家事をする時間が長いほど第2子以降の子どもが生まれる割合が高い、というデータがある。